Major Lazer『Peace Is The Mission』
今回のアルバムはMajor Lazerの『Peace Is The Mission』。
一度聴いたら頭から離れないメガヒット曲「Lean On」が収録されたアルバムだ。
ぼくもたまたま聴いた「Lean On」が頭から離れなくなった口なので、同じDJの曲を聴いてなんとか消化しきろうとアルバムを手に取った次第。
Major Lazerはレゲエのエッセンスが入っていることで有名らしいけども、
音はほぼほぼEDMのそれ。アコースティック楽器を使うこともない。
レゲエのリズムやメロディを思いっきり脱色して、エレクトロに混ぜ込んだ感じ。レゲエとEDMの融合といえばそうなんだけど、かなりEDM寄りだ。
下手に中間を維持しようとするよりも、これだけEDM側に寄ってくれたほうが気持ちいいなあ。
お互いの良さを潰し合うジャンル融合はもう聴きたくないし……
やっぱり出色の出来なのは「Lean On」。
似非インド風のPVに、似非インド風の旋律。レゲエを脱色したのと同じである。
でも、これくらいがちょうどいい。「本場の味」よりも日本人向けに調整された味のほうが美味しいようなもんで。
ちなみに、「Lean On」はまだ頭のなかで流れ続けてます。
アルバム療法効果なし!
お気に入り度★★★
「Lean On」「Roll the Bass」「All My Love」が好き。
ポルカドットスティングレイ『骨抜き E.P.』
今回のアルバムはポルカドットスティングレイの『骨抜き E.P.』。
Youtubeで「テレキャスター・ストライプ」の動画を見て、「これは!」と思ったので。
これは……ねえ。こんなん好きにならないわけないでしょ。
ギターはイントロのカッティングもサビのバッキングもソロも、とにかくキレッキレで気持ちいいし、ボーカルは椎名林檎っぽい喉にかかった歌い方がカッコいいし、発音のリズム感も気持ちいい。ベースとドラムは跳ねて踊りまくるのにめちゃくちゃキレが良い。
もうこんなん、好きにならないわけないでしょ。ズルいわ。
特にギターがいい。久々に「あっ、ストラトってカッコいい……」と思わせてくれるようなキレッキレの演奏が聴けた。
で、アルバムの方はどうかというと。
全4曲のEPながら、幅の広さを見せつけてくれるようだった。
バラードからハイテンションなロックまで、更には変拍子も……
一曲目以外あまりにも椎名林檎っぽすぎるのはご愛嬌。
一曲目はコードや拍子が鉄ト探とか<echo>projectみたいな東方アレンジサークルを彷彿とさせるけど……別に影響受けてるわけじゃないだろうな。
ときたまボーカルの細さが気になってしまう箇所があるなあ。
2曲目みたいにボーカル一本で曲を牽引していくタイプの曲は難しい気がする。これからの進化に期待。
ギター、ベース、ドラムは文句なしに全員カッコいいです。
お気に入り度★★★★
「テレキャスター・ストライプ」が圧倒的。
いいバンドが出てきたなあ。4月末にミニアルバムが発売されるっぽいので期待しとこ。
Avicii『True』
今回のアルバムはAviciiの『True』。
名曲と名高い「Wake Me Up」や「Hey Brother」は聴いたことがあったのだけど、「せめて1枚はアルバム通して聴かないとAviciiを聴いたことがあるとは言えないだろうなあ……」と変なプライドを発揮してしまったので、今回は2013年のアルバム『True』を聴くことにした。
Aviciiは、カントリーとEDMを融合させた曲風で知られている……というイメージがあった。
実際、ぼくが聴いたことがあった「Wake Me Up」と「Hey Brother」はまさにカントリーEDMといった感じの曲風。
でも、この曲風はあまり好きになれなかったな。カントリーの魅力である素朴さとたえず揺れ動くようなノリが失われた上に、EDMのゴリゴリ感も失われたように感じた。いいところを潰し合ってる。
クラブで踊りまくって「そろそろゴリゴリのEDMは疲れたな……」というところにコレが流れてきたら、嬉しく気持ち良く感じることは想像できるけどもね。聴く場・体験は重要だよなあ。
それよりも、5曲目以降のストレートなEDMのほうが好みだった。
歌メロも良いし、ドロップのメロディもどこか冷静で気持ちいい。
まだこのジャンルについてはド素人だし、他の人と比較した時Aviciiの個性がどこにあるかということについては述べられないんだけど、
Guettaよりはロック的であるような気がするな。歌モノではあるんだけれどリフを聴かせる構成になってる曲が多い気がする。
特に7曲目の「Shame On Me」とか。
こういうのは好きだな。どちらかというとEDMよりもハードコアとかに求めたい要素な気がするけど。
お気に入り度★★★
「Shame On Me」「Liar Liar」が好き。
David Guetta『Nothing But the Beat』
今回のアルバムはDavid Guettaの『Nothing But the Beat』。
EDMを語る上では避けては通れない巨匠(らしい)David Guettaの、2011年のアルバムである。
一応いろんな音楽を聴くというのが目標なので、
今まで手を出してこなかったEDMにも手を出してみようと思い、
とりあえず名盤そうなこちらを聴くことにしたんだけど……
なるほど、ゲッタすごいな……
ポップソングに音とリズムをドカドカ追加して、盛り上がりをひたすら強調、ダンスミュージックに仕上げている感じ。
ドロップ(サビのことをこう呼ぶらしい)までは基本的に歌メロ重視のポップソングなのでめちゃくちゃ聞きやすくて入り込みやすいのに、ドロップで一気に音の渦中に放り出される。そりゃあもうテンション上がりますわな。
基本的に展開は全部同じなので、聴いたことない曲でもどこで飛べばいいかは一目瞭然。
誰でも入り込めるし誰でも乗れる、なるほどなあ。そりゃあ人気出ますわなあ。
ただ、アルバム通して聴くとめちゃくちゃ胸焼けする……
明らかにフェスとかクラブとかで聴いて無心で跳ぶための音楽で、
家でヘッドホン被ってモソモソ聴くタイプの音楽ではないよなあ。
ヘッドホンつけてジタバタと曲に乗ってるのもそれはそれで楽しいんですけどね。やっぱり消化不良感が残るよな。
お気に入り度★★★
「Turn Me On」「Play Hard」あたりが好き。
歌メロは全部ポップで良い。ボーカルもみんな上手い。
The Libertines『up the bracket』
今回のアルバムは、The Libertinesの『up the bracket』。
ガレージロック・リバイバル期の伝説的バンドの、1stアルバムだ。
ガレージロック・リバイバルのバンドって、初期衝動だの原点回帰だのなんだかんだ言ってはいるものの結局振り切れてないというか、スカしてる感じが拭いきれない気がする(偏見です)。
「俺達はガレージロックやっとるんやで」みたいな。「このシンプルな音がカッコええやろ」みたいな。
しかし、彼らThe Libertinesはそういったポーズとはまるっきり無縁。
まさにロックンロールの初期衝動、ギターを適当にアンプに繋いでそのまま掻き鳴らしたような音で、労働者階級の現実を歌い上げる。
しかも、そのメロディの甘いことといったら!
メロディもさることながら、この歌詞。歌詞がいい。
暴動の真っ只中にいながら、同時にその擾乱自体を俯瞰しているような、熱くて透き通った感じ。
それがこの甘いメロディとあいまって、めちゃくちゃにいい。
迸るような若さを感じる。いや、ぼくも多分当時の彼らとそんな変わらんのだけどね。
それなのに、曲はバリエーション豊かで、飽きることがない。
案外初期衝動だけではなく、冷徹で綿密な計画に基いてアルバムを組んでいるのかもしれない。プロデューサーはクラッシュのミック・ジョーンズらしいし ……
う~ん、どこまでもバランスが良いなあ。
お気に入り度★★★★★
「Time for Heros」「Up The Bracket」あたりが好き。
never young beach『YASHINOKI HOUSE』
今回のアルバムはnever young beachの『YASHINOKI HOUSE』。
新進気鋭のバンドが2015年に送り出した、1stアルバムだ。
初めて聴いた時は、それはもう衝撃だった。
まさか今、こんなにカッコいいバンドが登場するとは!
2015年版、日常系フォークロックの正統後継者という感じ。
3曲目(上の動画)なんかは特にサニーデイ・サービスっぽいし、7曲目なんかは特にはっぴいえんどっぽい。
サニーデイ・サービスは、はっぴいえんどのような世界観を持ちつつも、音や歌詞を90年代のものにブラッシュアップしていた。
never young beachもまた、日常の幸せを見つめて拾い上げるような歌詞とどこかノスタルジックなメロディを継承しながら、ところどころに今っぽいフレーズを入れてきていて面白い。
ギターの掛け合いやきらびやかな音の散らし方も心地よい。トリプルギターという珍しい編成が活きているなあ。
しかし、気持ち良くて楽しいだけかというと、そうでもないな。
結局生活はままならないことばかりなのだけど、その中でもふわふわとした希望を持ちつつ日々を行きていこうとする、2015年ならではの姿勢が垣間見える気がする。
そうして最後は、物思いに沈みながらいつのまにか眠りに落ちる。
モヤモヤとしながらも続いていく日常。
単なる焼き直しではない、彼らならではの世界観がここにはある。
お気に入り度★★★★
「あまり行かない喫茶店で」が好き。
D'Angelo『Brown Sugar』
今回のアルバムはD'Angeloの『Brown Sugar』。
伝説的ソウルミュージシャンD'Angeloの1stアルバムだ。
めちゃくちゃ気持ちいい。
絹のようになめらかで、感動はあるのにひっかかりの少ない音楽だ。
未だに、というか最近特に、多くの日本人アーティストに影響を与えているのも頷ける。前回のSuchmosもそのうちの一例だろう。
Suchmosのおかげで、こういう音楽をやるためには、バンド全員が研ぎ澄まされたリズム感覚とバランス感覚を持っていることが必要だ、ということがわかった。
「大枠は似てるけどちょっと違う音楽」を聴き比べることで、今まで気付かなかった要素に気付く体験は貴重で、良いものですね。
お気に入り度★★★★
「Brown Sugar」がやはり一番好き。