Tai Phong『Tai Phong』
今回のアルバムは、フランスのプログレバンド「Tai Phong」の1stアルバム『Tai Phong』。
イギリス、イタリア、ドイツ……ヨーロッパのプログレにはそれぞれの国の特徴が出るような気がするし、それが魅力の一つなのだが、
フランスのプログレについては、ほとんどイメージがない。
というのも、Magmaしか聴いたことがないからなのだろうけど……(あんなんがゴロゴロいてたまるか)
ということで、このアルバムを聴き始める時には、なんとなくシャンソン的かつプーランク的な、オシャレでややこしい音楽をイメージしていた。ジャケットも水彩っぽくてオシャレだし。
しかしてその予想は、一曲目から裏切られた。
なんと透き通った、繊細な歌モノか!
どの曲もややこしいどころか、ストレートに心に入ってくる。
プログレらしい大仰な展開や、奇妙なフレーズも登場するのだが、それらを全て含めても歌モノとして納得できるほどに、美しく叙情的な楽曲が揃っている。
この叙情性には、ジャン・ジャック・ゴールドマンの歌が寄与するところが大きいだろう。正直歌があまりパッとしないプログレバンドも多い中、彼の繊細ながらも説得力のあるハイトーンボイスは非常に印象的だ。
そのヴォーカルに色を添えるコーラスワークもまた見事。シンセも美しいし、ギターの泣きっぷりもすばらしい。いや、バンド全てが高水準でまとまっている。
これはもう、フランスを代表する名盤といっても差し支えないだろう。
いや、フランス全然知らないんですけどね。
お気に入り度★★★★
「Goin Away」「Out Of The Night」が好きでした。