The Libertines『up the bracket』
今回のアルバムは、The Libertinesの『up the bracket』。
ガレージロック・リバイバル期の伝説的バンドの、1stアルバムだ。
ガレージロック・リバイバルのバンドって、初期衝動だの原点回帰だのなんだかんだ言ってはいるものの結局振り切れてないというか、スカしてる感じが拭いきれない気がする(偏見です)。
「俺達はガレージロックやっとるんやで」みたいな。「このシンプルな音がカッコええやろ」みたいな。
しかし、彼らThe Libertinesはそういったポーズとはまるっきり無縁。
まさにロックンロールの初期衝動、ギターを適当にアンプに繋いでそのまま掻き鳴らしたような音で、労働者階級の現実を歌い上げる。
しかも、そのメロディの甘いことといったら!
メロディもさることながら、この歌詞。歌詞がいい。
暴動の真っ只中にいながら、同時にその擾乱自体を俯瞰しているような、熱くて透き通った感じ。
それがこの甘いメロディとあいまって、めちゃくちゃにいい。
迸るような若さを感じる。いや、ぼくも多分当時の彼らとそんな変わらんのだけどね。
それなのに、曲はバリエーション豊かで、飽きることがない。
案外初期衝動だけではなく、冷徹で綿密な計画に基いてアルバムを組んでいるのかもしれない。プロデューサーはクラッシュのミック・ジョーンズらしいし ……
う~ん、どこまでもバランスが良いなあ。
お気に入り度★★★★★
「Time for Heros」「Up The Bracket」あたりが好き。