Pixies『Surfer Rosa』
今回のアルバムはPixiesの『Surfer Rosa』。
なんだこれ。めちゃくちゃに良い。
歪みまくりの轟音ギターに前のめりでパワフルなドラム、線が細いながらも絶叫するボーカル。
ノイズまみれで、ともすれば聞き苦しいくらいなのに、不意にそこから異常に美しいメロディが顔を覗かせ、それがどうしようもなく感情を掻き立てる……いや、これは良いですわ。
NUMBER GIRLはPixiesに影響を受けたという話は有名だけれど、
なるほど、この初期衝動感というか、勢いと輝かしさはNUMBER GIRLの初期とも共通するものがある。
Pixiesのほうがより繊細に聴こえるけれど。なんでだろう。下手だからかな。
お気に入り度★★★★★
「Gigantic」が最高。イントロから泣けてくる。
Beck『Odelay』
今回のアルバムはBeckの『Odelay』。
何やらかわいいジャケット。
Beckを聴くのは初めてだけど……なんだこれ。すごいな。
ポップなのだけど、ポップなのだけど、何が何やら。
同じリズムを溌剌と叩き続けるドラムはヒップホップっぽいけど、
ボーカルは気怠げで漂うようでブリットポップらしい。
かと思えばサンプリングを多用したりするし……
それでもポップで聴きやすいんだよな。なんだこれ。
こういう音楽、耳馴染みがないかというとそうでもない。
Gorillazとか、Plus-Tech Squeeze Boxとかが近い気がする。
たぶん、Beckの方が彼らに影響を与えたんだろうな。
お気に入り度★★★★
どの曲ともなく好き。
Gorillaz『Demon Days』
今回のアルバムはGorillazの『Demon Days』。
またしてもジャンルに縛られない快作。
強いて言えばブリットポップとヒップホップの融合ということになるんだろうけど……それだけではないよなあ。
前作はブリットポップらしいメロディの良さが全面に出ていて、それのせいか軽く明るく、それこそジャケットのようにドライブをしているような気分になるアルバムだったけど、
今作はかなりシリアス。人の全く居ない街で、店頭の液晶だけが煌々と光っているような……
ボーカルはより掠れ、絞り出すようなものになり、音はよりエレクトリックで無機的に。ポストロック的な一歩引いた感じ、俯瞰してる感じもより出てきた気がする。
前作よりもこっちの雰囲気のほうが好きだなあ。かなり好き。
お気に入り度★★★★★
「Feel Good Inc.」「All Alone」が好き。
曲ごとに参加してるゲストの凄さがわかればまたもっと楽しめるんだろうな。UKの音楽シーンには全く詳しくないのでほとんどわからん。レキシのゲストならわかるんだけど。
OGRE YOU ASSHOLE『アルファベータ vs. ラムダ』
今回のアルバムはOGRE YOU ASSHOLEの2ndアルバム、『アルファベータ vs. ラムダ』。
これと1stは「Homely以後よりずっとオルタナっぽい」という評判が聞こえてきたこともあって聴いていなかったのだけど、ライブで「フラッグ」などを聴いたことで興味が沸いたので購入した。
たしかにオルタナっぽいわかりやすさはあるんだけど、それでも全く一筋縄ではいかないぞ……すでに独自の領域に踏み込んでいる。
単調ながらも活溌、力強いドラムに、フラフラと行ったり来たりするギター。特に「サカサマ」のギターはかなり気持ちよかったな。
全曲、彼らがライブで見せる力強さに近いものがあった。というか、ライブ感がある。
お気に入り度★★★★
「フラッグ」「マスク」「サカサマ」が良かった。
Vintage Trouble『The Bomb Shelter Sessions』
今回のアルバムはVintage Troubleの『The Bomb Shelter Sessions』。
近年話題のロックンロールバンド、Vintage Troubleの2012年の作品だ。
一曲目、「Blues Hand Me Down」から完全にノックアウトされた。
ブルージーなギター、滅法にソウルフルなボーカル、ドカドカと突っ走るリズム隊……最高~~~!!!ロックンロールや!!ロックンロールがここにある!!!
二曲目以降はブルース的なナンバー、R&Bのナンバーなど適度に緩急がついている。しかし、その前のめりなノリは一貫して失われていない。
黒人のボーカルは強いよなあ。やっぱり言葉のリズム感ひとつとっても全然違う。
「最強のライブバンド」という触れ込みだけど、こりゃたしかにライブだと楽しいだろうなあ。
4月に来日するっぽいけど、4月はどこへも行けないし……
そういえばAlcestも4月に来日するっぽいですね。
なんでみんな4月に来るんだろうなあ。
夏とかにしてほしい。Moon Safariは6月に来るみたいだけど。
お気に入り度★★★★
SOUND HOLIC『想 -OMOI-』
今回のアルバムはSOUND HOLICの『想 -OMOI-』。
初聴じゃないけども、帰省した際久々に聴いて「やっぱりいいなあ!」と感銘を受けたので。
中学生時代にめちゃくちゃ聴いたなあ。中学通して一番聴いたアルバムなんじゃないだろうか。
『想 -OMOI-』は、SOUND HOLICの東方アレンジシリーズである、漢字一文字シリーズの第7弾として発表された。
漢字シリーズでは、基本的にアルバム1枚通して一作の原作しか取り扱わない。
東方紅魔郷オンリーのアルバムは『紅 -KURENAI-』、東方妖々夢オンリーのアルバムは『妖 -AYAKASHI-』というように、原作から一文字取ってそれをタイトルにするのも共通点である。
しかし、今作『想 -OMOI-』は、少々趣が異なる。
東方萃夢想、東方緋想天、東方非想天則という3つの原作から、共通する「想」という文字を抜き出してタイトルにしているのだ。
原作がバラバラ、綯い交ぜになっているだけに、よりSOUND HOLICらしいマルチジャンルさが際立っているように思える。一曲ごとに区切りがある感じというか、コンピっぽいというか……他のアルバムのように、「原作の流れを追体験する」という要素が入っていないからだろうか。
さて、曲のほうだけども、
一曲一曲のレベルは漢字一文字シリーズで最も高い。これは間違いない。
特に、最初の4曲。
朝靄と曙光を思わせる一曲目のインストナンバーから、どちらも高水準にまとまっているユーロビート、デジロックと続いて期待が高まったところで、4曲目に来るのが序盤のハイライトである「Rainy, rainy days」。
現代歌謡曲風のアレンジが、まさにこの原曲にピッタリハマった名曲だ。
東方はそのメロディから、歌謡曲風のアレンジが合う曲が多いことは簡単に予想がつくんだけれども、
いざ歌謡曲風のアレンジを聴いてみると、これが案外大抵ピンとこない。
この原因は、東方界隈に歌謡曲を歌えるボーカルが居ないということである。
歌謡曲風のアレンジはボーカルの表現力ひとつで全く表情が変わってしまうものだけども、東方界隈にはそれだけ一曲に表情をつけられるボーカルがなかなかいないのだ。
そのことから、しばしば歯がゆい思いをしてきたものだった。
しかし、この「Rainy, rainy days」は、その積年の不満を一気に晴らしてくれたのだ。
アコースティック楽器を取り入れたポップで爽やかなアレンジも見事なら、このメロディと歌詞を表現しきる3L氏のボーカルも見事。
まさに、雨粒がだんだん輝いて見えてゆく様子が目に浮かぶような一曲。
3L氏がボーカルを取るSOUND HOLIC作品にハズレはないけれども、中でもこの曲は私のお気に入りの一つである。
全曲良いのだけど、あと特筆すべきは「全人類ノ非想天則」かな……
これはある意味素直なアレンジなのだけど、歌詞が良い。めちゃくちゃしっくりくる。非想天則アレンジはいくつもあるけど、この歌詞が一番好きだな。
お気に入り度★★★★★
総合レベルが高い。SOUND HOLICを聴いたことない人に1枚勧めるとしたらこれかな。でも、原作が格ゲーということもあり少々マイナーな原曲が揃っているので、その後の展開を考えるとどうだろうか……やっぱり『紅』とかのほうがいいかな……