『極東アウトブレイク』
東方アレンジ数あれど、げに少なきはロキノンアレンジ。
2010年。鉄ト探だの石鹸屋だのにハマった私は、東方厨×ロキノン厨という、オタク中学生成分を煮詰めたような代物に成り果てていた。
当時、私の一番の悩みは、東方バンドアレンジサークルの新規開拓に難儀することであった。
バンドアレンジは打ち込みに比べて数が少ない。イベントに行けるのならともかく、委託頼りで気に入るサークルを探すのは大変だったのだ。
そんな状況の私に救いの糸を垂らしたのは、数々のバンドアレンジコンピCDだった。
様々なサークルが集まるコンピCDは、サークルの新規開拓にうってつけ。知っているサークルがあれば、その新曲も聴くことができる。
そんなコンピCDの中でも一番お世話になったのが、『極東アウトブレイク』だ。
このアルバムのコンセプトは「騒々せよ」。
各サークルがやりたい放題、思い思いに「バンドアレンジ」をやっているが、
その結果、各サークルの特徴がよく出ており退屈しない上に、非常にバランスの良いアルバムになっている。
激しい曲、美しい曲、太い声の男声ボーカル、ウィスパーボイスの女声ボーカル……様々な方向に振り回されるが、それでも一本ちゃんと筋は通っており、聴き疲れることも聞き飽きることもない。
コンピアルバムかくあるべし、と思わせてくれるような名盤だ。
中でも、tr.2の「wkmk」、tr.8の「春風の行方」が好み。wkmkは後に衝動的の人の個人アルバムで再録されているが、このテイクのほうが直情的で好き。衝動的の人も鉄腕トカゲ探知機も、ハズレ曲や捨て曲が全く無い。いやホントに。
あとはtr.7の「ヒカリ」も好きだ。演奏がさほど上手いわけでもなく、曲に技巧が凝らしてあるわけでもないが、こういうド直球なギターポップはある種の郷愁をもって胸に迫ってくるものがある。こう、高校の体育館でフランドールが演奏している光景が目に浮かぶような……水色のテレキャスとか持って……
コンピアルバムは当たりから外れまで様々ある。しかし、好きなサークルが参加している場合、買っておかないとその曲が永遠に聴けなくなる可能性すらあるため、クロスフェードを聴いた時点で当たりだ外れだだのといちいち騒いではいられない。買うしかないのだ。
そんな中でめぐりあった良いコンピアルバムは、非常に印象深いものになる。
今ではさほど同人CDを買うこともなくなったが、だからこそ、こういう出会いは大切にしていきたいものだ。
それでは~ ノシ