Keith Jarrett『The Köln Concert』
すさまじいアルバムに出会ってしまった。
今回のアルバムはKeith Jarrettの『The Köln Concert』。
マイルス・デイヴィスなどのもとで活躍した後、ソロピアニストとしてキャリアを歩み始めたKeith Jarrett。
そんな彼が1972年から行い始めた新しい試みが、「完全即興によるピアノ・コンサート」だった。
数小節とか1ステージではなく、コンサートの全プログラムを一人による即興演奏でこなしてしまおうとする試みだ。
数世紀前、ロマン派あたりの演奏家たちはたびたびこういった即興コンサートを行っていたらしいが、現代において即興コンサートが行われたことは皆無。
今回のアルバムは、彼が1975年1月24日にケルンにて披露した演奏を無編集でレコードに焼いたものだという。
感想だけど……正直思いつかない。あまりにも巨大すぎる。
キースはインタビューにて「このCDの演奏は、わたしという媒体を通じて、創造の神から届けられたものである。」と述べているが、
まさに。この演奏からは神を感じる。世に溢れる全ての音楽が、ここに結集点をみているかのような。
ジャズだとかクラシックだとか、そういうみみっちい括りに収まるようなものではないのだろう。
感想も何も、この1枚に出会えたことに対する感謝しかない。
演奏が鬼気迫るものであるぶん、聴く方にも相応の集中が求められるので、
誰にでも勧められるというものではないが、それでも。
音楽が好きな人には全員、このCDを聴いてみてもらいたい。
至高の体験ができる1枚だった。
お気に入り度★★★★★